大阪府豊能町を拠点に、高齢者福祉、障害者福祉事業を行う社会福祉法人豊悠福祉会祥雲館。豊能町の福祉施設を活用し「祥雲館町おこしプラザ」プロジェクトとして、「地域でヒト・モノ・コトをつなぐことで豊能町を元気にする」ことを目的に、様々な交流の機会を広げています。今回は数ある町おこしプロジェクトの中の一つ「祥雲館TOYONOCOLLECTION2021」が、2021年10月24日に開催されました。

ファッションショーで元気な豊能町をアピールしたい！

2018年から始まったファッションショーも今回で4回目。前回開催された「祥雲館TOYONOCOLLECTION2019」では福祉施設の利用者だけでなく地域の皆さんが主役になって、想いや魅力を発信しました。2020年にも開催に向け準備が行われていましたが、新型コロナウイルスの影響で止む無く延期に。今年はコロナ渦により祥雲館利用者のみがモデルとなりますが、利用者さんそれぞれが思い思いの衣装を着てランウェイを歩きます。
ファッションショーの一般公開は動画での公開となりましたが、今回は特別に準備から開催当日の様子まで密着取材をさせて頂きました。

一人一人の思いを大切にしたいからヒアリングから丁寧に

ファッションショーの準備は、まず衣装選びから始まります。ファッションショーの要となる衣装ですが、ただ華やかな衣装に身を包むだけでなく、一人一人の思いを汲み取った衣装選びが特徴です。利用者さん毎にヒアリングシートを作成し、幼少期の思い出や、若かりし頃のエピソードがびっしりと書き込まれていました。そこから衣装選びはもちろん、演出の音楽や小物に至るまで完全オーダーメイドで準備が進んでいきます。きめ細かな対応は福祉施設ならではの温かさが垣間見えます。

会場演出も控室も。一から試行錯誤で手作り

前回は豊能町立ユーベルホールを使用しましたが、今回はコロナ渦ということもあり、施設のリハビリ室を利用して開催。たくさんのリハビリ機器が並ぶ一室で、最初はどのような会場になるのか全く想像が出来ませんでしたが、「手作りならではの温かさと、ファッションショーの本格的なムードも大事にしたい！」という思いで、スタッフの皆さんが議論を重ね計画されました。

ランウェイにはダリアの花が散りばめられていました。白いダリアの花言葉は「感謝」。家族やスタッフ、地域との人の繋がりに感謝をする1日にぴったりです。

また、会場だけでなく控室にもこだわって準備をされていました。コロナ渦で、対面の面会が制限されている中、少しでも一緒に時間を過ごしていただきたいという思いから作り上げたそうです。ご家族様毎に控え室を用意し、室内の飾りには同法人の放課後等デイサービス、障がい者福祉サービス、障がい者グループホーム、サービス付高齢者住宅のスタッフと利用者が作成。ショーには参加できないメンバーも、みんなで一緒に作り上げました。
今回のイベントは、モデル利用者の想いだけでなく、家族さんやスタッフなど、全ての方々の想いを叶えるイベントとして準備が進んでいきました。

笑顔と涙が溢れるファッションショー開幕

いよいよファッションショーが開幕。お孫さんと一緒にランウェイを歩く方、昔の思い出を表す衣装や小物に身を包んで背筋がピンとなる方、大好きな曲と合わせて颯爽と歩く方、ご夫婦で仲良くご登場する方など、様々でしたが、どの方もとても嬉しそうな表情をしておられました。ご家族やモデルさんが涙を浮かべる姿には思わず私も涙が……。

「綺麗です」と言うお孫さんからのコメントに、照れ隠しで頭をお花でポカッと叩く姿もあったりと、ファッションショーは会場全体が和やかなムードで幕を閉じました。

一般公開に先駆けて利用者さんたちに報告会

のせでんアートラインの会期中には、祥雲館ヴィレッジ・エンで報告会を開催しました。スタッフが作成したスライドショーに、今回ファッションショーには出演しなかった利用者さんたちも、「次は私も出たい！」「結婚式で着たことない衣装がいいんじゃない？」と大盛り上がり。今後もたくさんの人に愛されるイベントになりそうです。

当日の様子を動画で公開中！

当日の様子は現在一般公開中です。今後も「祥雲館TOYONOCOLLECTION」や「祥雲館町おこしプラザ」プロジェクトをたくさんの方に知ってもらうために町のいろんな場所で公開を計画中だそうです。祥雲館という福祉施設から笑顔が広がり、町で生き生きと暮らす人が溢れる未来が見えました。
TOYONOCOLLECTION2021-わたしがオシャレを楽しむ一日-【ダイジェスト】

取材日・2021/10/24／2021/11/18
文／取材・相澤由依
写真協力・大学堂株式会社／宮田佐也佳／橋本優馬／社会福祉法人豊悠福祉会祥雲館