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イベントレポート

2022.03.24

【地域プロジェクト】奥摂津逸品創作プロジェクト実食レポート

【地域プロジェクト】奥摂津逸品創作プロジェクト実食レポート

2021.10.30、秋空に夕焼けが迫るころ「のせでん アートライン 2021」がついに開幕!

今期のアートラインはコロナ禍の中でも安全な開催を、と決断。オープニングイベントの音楽祭をオンライン開催に舵を切ったことに合わせて、自宅にいながらにしてこの地域のグルメを楽しめるようにと、とある地域プロジェクトが立ち上がりました。それが「奥摂津逸品創作プロジェクト」です。

発起人である、みさご珈琲代表の向井務さんは本プロジェクトについてこのように語っています。

のせでんアートラインの開催地域である一市三町を「奥摂津」と位置付け宣言し、食に関する人やモノを探索しつなぎ合わせ、奥摂津で営む方々と食のオリジナル商品企画を行います。アートライン期間中はオンラインでの販売を予定。会期後も運動を継続しながら、地域内での連携と域外への発信を進めていきます。

 

各市町村の境界を越えて開催される「のせでんアートライン」だからこそ、実現した今回のオリジナル商品。

公式ページを見るとそれぞれの市町村から自慢の「食」が大集合。目移りしながら回遊するうち、まるで小旅行しているかのような気分に。迷いに迷った挙句、「里山×アジアの融合・本格インドカレー」と「コーヒーロースターズ3種セット」を注文してみました!

 

奥摂津の逸品グルメをいざ実食。

行政区域どころか海を越えちゃってるカレー

まずは、ヨナナ(川西市)+能勢町アジア野菜研究会(能勢町)の限定コラボ商品、「里山×アジアの融合・本格インドカレー」を試してみます。

奥摂津逸品創作プロジェクトのトップバッターとして紹介されていたこちらのカレー。選んだ理由は「奥摂津」というキーワードから連想される様々なグルメに反し、インド、アジアと初手から海越えちゃってるところに惹かれたからです。

4種類が2袋ずつ入ってました。一家が十分にインドカレーに浸れるボリュームがうれしい。

  • コリアンダーチキンカレー
  • ポークビンダルー
  • 野菜のカレー(サンバル)
  • 野菜のカレー(ラッサム)

カチコチに冷凍された状態ですが、カラフルな色と具沢山な様子がパウチ越しでもバシバシ伝わってきます。

お手紙もついてきました。

能勢町の山林に囲まれた30aほどの小さな畑でアジア野菜など、年間におよそ50品目150品種を栽培している「能勢町アジア野菜研究会」と妙見山の麓で南インドのカレーを提供している「ヨナナ」とのコラボレーション企画です。

今回は南インドでも大変よく使われるパクチー(コリアンダーリーフ)、タイナス、タイささげ、上杉南瓜の野菜を提供頂き、コリアンダーチキンカレー・ポークビンダルー・サンバル・ラッサムの南インドのカレーをお届けします。

これらのカレーを大胆に混ぜながら、お召し上がりいただき、大阪の北に位置する能勢を感じて頂ければ幸いです。

 

引き立て役のご飯も、奥摂津のもの。

この日のために、豊能町牧産の新米のキヌヒカリを7分づきで精米。そこに奥摂津逸品創作プロジェクトでも紹介されていた玄米専門店「稲妻家」(川西市)のオリジナル雑穀ブレンド米を合わせていつもより若干硬めに炊いて準備オッケー。黒米の自然な紫色が食欲をそそります。

各カレーは数分ボイルすれば、あっという間に完成です。レトルト感覚で本格インドカレーがすぐに食べられる現代に感謝。

画面一番下から時計回りに、ポークビンダルー、野菜のカレー(ラッサム)、野菜のカレー(サンバル)、コリアンダーチキンカレー。画面右に見切れているのは子ども用の丸美屋「呪術廻戦カレー《中辛》」です。

本格カレーは大人だけのお楽しみ、夫と私の二人で実食してみました。

ポークビンダルー

豚の塊肉がごろごろ入った「ポークビンダルー」。ビジュアル面でも一番写真映えのするカレーです。

夫「男ウケするカレー」「口に入れた瞬間、香草の香りがひろがる」「やばい」

私「見た目よりも意外とあっさりしている」「じんわり辛さが後からやってくる」「豚の塊肉が柔らかすぎず硬すぎずで絶妙」

野菜のカレー(サンバル)

野菜がふんだんに使われており、4種類中一番具材が多いのでしょうか、皿からあふれそうになっちゃいました。

夫「大人が好きな味」「野菜スープみたいにあっさりしているけれど、しっかりスパイスが効いていて美味」「野菜の甘みの中に苦味が潜んでいる。これ好きかも」

私「野菜を極限までトロトロ煮込んだ濃厚なスープって感じ」「薄味にすることで、かぼちゃ、ささげ、なす……野菜そのものの味を大事に残してある」

どのカレーにも、黒ごまのような形のスパイスがふんだんに使われています。一体なんのスパイスだろ……?

コリアンダーチキン

能勢町アジア野菜研究会による能勢育ちのパクチー(コリアンダー)を使ったグリーンカレー。タイカレー好きとしてはたまらない。

私「あ。かなりあっさりやね。タイのグリーンカレーを想像したけど、少し違う。ココナッツミルクは入っていないかごく少量なのかな?クセがないので、日本人向けというか和の雰囲気も感じられる」

夫「アジアン」「食べやすい部類なので、初めてアジアンカレーに挑戦する人によいかも」

 

野菜のカレー(ラッサム)

夫「女の人が好きそうな味」「しっかり酸味!」

私「梅干しのすっぱさにも似たフルーティで穏やかな酸味。トマトかな?」「サラサラのスープ状のカレーなので、ライスと合わせるとまるでおじやのような。食欲がない時や体が疲れてる時に出てきたら嬉しい。」

ドキドキ!独断のカレーベスト3発表

夫のベスト3

  1. ポークビンダルー 
  2. 野菜のカレー(サンバル)
  3. 野菜のカレー(ラッサム)

私のベスト3

  1. ポークビンダルー
  2. 野菜のカレー(ラッサム)
  3. コリアンダーチキン

という結果になりました!

インドカレーというと日本食とは違う風味や個性が目立つのかなと思いきや、塩分も辛さも控えめで優しい味。刺激的なスパイスというよりも、身体によい漢方としてのスパイスの一面を感じとることができました。

冷めた頃に個性が目覚める、コーヒー三銃士。

次なる逸品「コーヒーロースターズ3種セット」。

 

「BLEND #1」EMMA COFFEE

豊能町の名店、自家焙煎した豆を使ったスペシャルティコーヒー専門店「EMMA COFFEE」さんの「BLEND #1」。

のせでんアートライン公式ホームページの紹介文には

生産国において徹底した品質管理と適切な輸送と保存がなされたスペシャルティグレードの生豆のみを使用し、どんな食事やスイーツにも合うようにバランスの取れた毎日飲んでも飽きない味をイメージして作っています。

とあります。

浅煎り〜中煎りの豆です。個人的に浅煎りならではの酸味が苦手なのですが、こちらの「BLEND #1」はかなり飲みやすいタイプだと感じました。後味に黒糖のような甘みがお気に入りです。

淹れたての温かい状態でももちろん美味しいのですが、人肌〜常温まで冷めるとくっきりと味の輪郭が分かりやすくまろやかになり、さらに美味しく感じました。まるで毎日のむお茶のようなコーヒーです。

 

「メキシコ アナエロビック サンアントニオ」cafe manna

先ほどの「BLEND #1」とは打って変わって、深煎り焙煎のこちら。コーヒー豆の油分をまとい、黒光りした装いは深く焙煎された証。

写真左が「BLEND #1」、右が「メキシコ アナエロビック サンアントニオ」。

紹介文によりますと

実をつけたまま、タンクにて空気に触れないよう発酵させることでより芳醇な風味を生み出すアナエロビックナチュラル製法のコーヒーです。様々なフルーツを思わせるフルーティーさと華やかな香りが特徴的なコーヒーです。

とのこと。

こちらは、ドライフルーツやチョコレートのような甘さを感じる香り。飲むとビターな味わいで飲み応えがあり、まるでワインで言うところの「フルボディ」のような重厚感や個性を感じる味です。すこし荒熱が取れた頃から、豊潤な香りがはっきり現れます。一口ごとに重みを感じる力強いコーヒー。1日の終わりに飲みたいやつ。

「ありなし珈琲ドリップバッグ」ありなし珈琲

ありなし珈琲さんは残念ながら冬季休業中だったため、お手軽なドリップバッグでいただきました。

ドリップバッグの裏面には、「東郷まめちしき」なるコラムがシリーズ掲載。一体何種類あるんでしょう。

コーヒーの味の表現をフルーツに例えることはよくあるのですが、こちらはまるで花のような香りがふわりと広がります。味はとても穏やかで、決して奇をてらわず、けれど素朴な中に確かな美味しさを感じます。

ありなし珈琲さんは、能勢・野間の大けやきの下にある小さなコーヒースタンド。能勢の東郷に住む人たちが大けやきを見に来たお客さんへのおもてなしとしてこのコーヒーをサーブする──、そんな情景がしっくりくる味でした。

こちらのコーヒーもすこし冷ましてから再度ゴクリ。淹れたての際には気づかなかった、ウッドチップを使ったスモークのような香りがフワリと広がります。……もしかしてひのき?なんて勘ぐっちゃいましたが、それはさすがに感受性豊かすぎでしょうか(笑)濃い樹木や蜂蜜のような芳香が魅力でした。

冷めたコーヒー、飲まない?という口説き文句

小説や歌詞で目にする「冷めたコーヒー」って、放ったらかしにされたイマイチな表現とばかり思っていたんですけども、きちんとこだわって焙煎された美味しい珈琲豆の場合は真逆!

香水も時間が経つにつれてトップノート・ミドルノート・ラストノートと香りが変化してゆく魅力がありますが、珈琲にもそれが当てはまるんだというのが今回の大発見でした。

たった一杯のコーヒーなのに、淹れたての状態・荒熱取れた頃・人肌〜常温……味や香りが刻一刻と変化する様はまるでパラレルワールド。30年コーヒーを飲み続けてきて初めて知りました。気づいたきっかけは、冬季なので楽しんでゆっくり飲んでたら冷めちゃった、だけなのですが。

 

コーヒー通たちの知られざる楽しみ方「冷めたコーヒー、飲まない?」がサブカル男子の口説き文句として台頭するのでは?そんな気さえしました。

奥摂津のポテンシャルは広く深い

カレーでは海を越えてインドやアジア野菜に魅了され、コーヒーでは深く深く潜るような感覚で「食」に触れることができました。

「奥摂津」はエリアを表す単語として誕生しましたが、本プロジェクトを真に鮮やかに彩ってゆくのは「食」を通じてここで暮らす人。これからどのように拡張していくのか楽しみです。

 

文・宇都宮頼子

写真・大学堂株式会社

 

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