今回お世話になったのは、オーベルジュヤマガミさん。オーナーシェフの山上さんは、大阪市北区の中津で8年間イタリアンレストランを経営し、2018年8月に豊能町高山で農家宿レストランを開いています。ここに行ってみようと興味を引かれたのは、以前高山右近の生誕地で行っている右近の里のイベント棚田にろうそくが並べられて幻想的な夜景を見たから♪その地で豊能高山産のワインを作っているとのことで、ぶどうにもワインにも興味があるのでぜひ体験をさせてもらおうと、参加してみました！
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今日の作業説明♪

今回新たに参加された方をはじめ、まずは参加者の皆さんの自己紹介を行い、オーナー山上さんから本日の作業を説明、分担して作業に取り掛かります。
○鹿などから新芽を守るガード設置・撤去（成長して鹿が食べなくなったので今回は撤去）
○苗近くの足元の草刈り（草刈り機が入らないところを鎌で草を刈る）
○ぶどうのつるを支柱に細針金で誘導する（太陽光をよく浴びるよう固定）
○土壌診断用のサンプル採取（乾かしてから農協に依頼のため送付）
こうしたコツコツと地道な作業が、言葉通りに「実を結ぶ」のですね。

参加者の一人は元建設会社社長さん。ユンボも扱えるし、ワインのことに精通している新井さん。定期的にお手伝いに来られていて、土壌のことや土地の整備に詳しく、倉庫やワイン製造の工場のことも考えている心強い助っ人。ワインのことを本当にたくさん知っているので、ぶどうの生育土壌のこと、おいしいワインのこと、いっぱい教えてもらって、ワインができたことを想像すると、農作業が楽しくなってきました！

いつもはシェフ姿のオーナーも土壌診断サンプル採取や草刈りに奮闘。研究熱心なオーナーの活動は経済学からSDGs・持続可能な農業や、ぶどう栽培、ワインの製造方法の研修、多岐にわたります。オーナーの話を聞いていると時間がいくらあっても足りない位興味が尽きません！

高低差のある棚田には階段が設置されています。この階段のおかげで遠回りせずに棚田を行き来できるが、これがなかなかの優れもの。きしまない、ぐらつかない（農作業用の安物でないぞ？）聞けば、参加者の一人の木工教室の先生の丹羽さん（なんとオリンピックのコーチをしていた方も習っているらしい）が造作されています。。
横にはお手製の濾過装置が設置されています。泥がたまって、石垣が崩壊してしまうのを防ぐもの！
もともとここは　草ボウボウ、たまった水で沼のようになり、あげくに石垣が崩れた放棄された棚田だったとか。それを田の水を抜き、石垣を修復し、草を刈り。大変な作業だったと思いますが、見事にここまで回復させた、オーナーの山上さんとボランティアの方たち。笑顔で語るこの人たちはただ者ではない!!と密かに感じたのでした。

この棚田を利用しワインを作りたいという夢。ぶどう栽培のため、土づくりから有機栽培、醸造技術などの勉強に行き、ぶどう栽培に適しているとは言い難い棚田で「無農薬」でぶどうを育てるというこだわり。うまくいけば、そのぶどうが生長し実りを見せるのは３年後になるのだとか。ワインができるのはさらに先だけど、その“高山ワイナリー”の完成図をぜひ見てみたい！
そんな話をしていると、集落にサイレンが鳴り響き、お昼の時間です。

なんと！休憩に帰ると、まかないで食事が用意されていました。いつの間に！！手際がすごい！ワインの空き瓶にお水が置かれ、くつろぎの空間に感動！そしてオーナーの山上さん自らが手打ちしたパスタ。もちっとして小麦の香りがよく、添えた生ハムのおいしいこと。パスタは少し辛みの効いたトマトソースで、オリーブオイルの香りのついたパンと一緒に余すことなく堪能しました！しかも、甘い高級フルーツ盛り合わせのデザート付き。本当に贅沢なまかないです。まかないは毎回違うとのこと。ボランティアさんの楽しみの一つですね。
農作業は大変で、草刈りしたら足も腰も手も痛いのに、こうした優秀なボランティアの方が徐々に増えてています。「耕作放棄地である棚田を利用してぶどうを栽培し、ワインづくりをしたい」というオーナー山上さんの熱い想いと、温かい笑顔のたまものでしょう。オーベルジュのストーブのあるほっとする空間、くつろぎの柔らかいスリッパにまでも山上さんのやさしさを感じました。
のせでんアートラインの期間だけでなく毎週木曜日に作業のボランティアを募集しています。午後にも続く作業のあと、「また来ても良いですか？」と思わず聞いてしまった私なのでした。

取材日・2021/11/4
文／写真／取材・阪上　仁美