INFORMATION

イベントレポート

2022.03.17

【地域プロジェクト】リクレイムド見本市 開催レポート

【地域プロジェクト】リクレイムド見本市 開催レポート

年代物の素敵な家具やレトロな雑貨がところ狭しと並び、とてもおしゃれで、訪れるといつもワクワクする能勢のベルカンプさん。
そんなベルカンプさんで開催されている、のせでんアートラインの地域プロジェクト「リクレイムド見本市」へ行ってきました。


「リクレイムド」__「再生する」「取り戻す」という意味があるそうですが、初めて聞いた言葉でした。


主催の立花之輝さんと、ベルカンプ秋山翔太さんは「地域にある使われなくなった材を再生させ、地域内で使う、循環させる。」ということをテーマにこのプロジェクトに取り組まれています。周辺地域の古民家や蔵、廃校などに眠っている家具や古材などを募集し、集まったものを「素材」として使用し新しいモノを生み出す。外国から輸入などの場合にかかる輸送費などをかけずに地域内で循環できるため、エネルギーの無駄も減らすことができるのだそう。地球環境にも優しい、とても素敵な取り組みですね!


店舗階段を上がって2階奥の空間。ここが今回のリクレイムド見本市の会場です。


入った瞬間、「わぁ!」と思わず声が出ました。古木や廃材を使っているということで、わたしが想像していたイメージはなんとなくワイルドなものでしたが、その空間はおしゃれなショールームに来たような、とても洗練された印象を受けました。

まず目に飛び込んできたのは、部屋の中央に配置された大きなテーブルとソファ。


テーブルは、使い込まれた木製パレットの木枠にいろんな色や形をしたたくさんの端材がパズルみたいに気持ちよくはめ込まれていて、一つ一つの端材をじっくり見たくなります。その脚には使われなくなったテーブルの鉄製の立派な脚が再利用されています。この木とアイアンの組み合わせはとてもおしゃれで存在感があります。


デニム生地のクッションが目を惹くソファのフレーム部分には、よく見ると製造所の文字がそのまま残っています。これも地域の使われなくなった古い木材を使っているそうなのですが、その一方でクッション部分はソファに合うサイズでオーダーメイドされたそうです。古いものと新しいものが互いにフィットしている感じがして、力強さというか、新品だけでは出せない迫力もあり、とても魅力を感じます。


ソファのひじ置き部分の古木のこの感じ。長い年月を経て角が丸くなっているところなど、古木好きにはたまらないポイントです。


ソファの後方には、ドライフラワーや靴屋さんから来たたくさんの「靴の型」などが古くて味のある引き出しに素敵に飾られていました。その引き出しは、古く傷んで使えなくなっていた箪笥からまだ使える引き出し部分だけを取り出したものだそうです。

考えたこともなかった引き出しとドライフラワーの共演に、なんでこれがこんなにも素敵に合わさるんだろう……と、不思議な感覚になります。そして自分のおばあちゃん家にある箪笥よりももっと古く、歴史を感じるこの引き出しが、捨てられることなくこうやって違う形で活かされていて、本当に捨てられなくてよかったな……となんだかちょっと自分の大切なものを捨てられずに済んで安心した気持ちになりました。ありがとう!と言いたくなるこの感じ……!

そして、もう一つ気になるものが……!


この三角や四角の木製の物体。なーんかどこかで見たことがある気がしていたのですが、なんだか分かりますか?

これは、閉園した幼稚園から集まった「積み木」だそうです。「あ〜! あったあった!」と、とても懐かしくなりました。これも元々は幼稚園の閉園と共に捨てられてしまうはずだったもの。それがオブジェやインテリアの一部となって大切に使われています。「置くだけ」でこんなにも素敵なインテリアになるのですね。


おそらく、昭和48年に当時幼稚園の先生が書いただろうこの日付も、長い年月を超えて「いい味」が出ているように思えます。


今回、このプロジェクトについてたくさんお話を聞かせてくださった秋山さん(写真左)と立花さん(写真右)。

私自身つい最近、リサイクルショップで取り扱ってもらえなかった家具を、勿体無いなぁと思いながら泣く泣く処分した……ということがありました。「リサイクルショップでも取り扱ってもらえないようなモノを引き取って新しいモノに生まれ変わらせるんです。」というお二人の言葉に「捨てる以外にそんな方法があったのか!?」と衝撃を受けました。このプロジェクトをもう少し前に知っていれば……! あの時捨ててしまった家具、このお二人にご相談していたら一体どんな風に生まれ変わっていたのでしょう……。

今、このご時世でお片付けをされる方も多く、ゴミ処理場には毎日たくさんの家財ゴミが持ち込まれているそうです。私もその中の一人だったわけですが、今回「リクレイムド」という言葉を知り、こういった取り組みがもっともっと広く知れ渡り、多くの人に届いて欲しいと思いました。「売る」「捨てる」だけじゃなく、「再生する」がまだあるということは、多くの人にも、地球にも嬉しいことですよね。

アートライン期間が終わっても、ベルカンプさんではこの取り組みは続けられるとのことですので、是非ともお家に使わなくなった家具などがありましたら、捨ててしまう前に相談してみてはいかがでしょう♪ 「捨てるしかない、燃やすしかない」と思っているモノでも、視点を変えるととても素敵な「素材」になるかもしれません。

取材日・2021/11/18
文/写真/取材・宮田 佐也佳

 

関連記事