のせでんアートライン2021
CLOSING EVENT
野外シアター

会期の最後を彩るのは、映画や映像作品をゆっくりと楽しんでいただける野外シアターです。
今回の芸術祭にふさわしい作品がぎゅっと詰まった4日間をぜひお楽しみください。

○ 開催日時
11/20(土)-23(火・祝) 4日間 16:30 開場/17:00 開演 雨天決行、荒天中止
○ 会  場
旧東郷小学校校庭(大阪府豊能郡能勢町地黄)
○ チケット券種

屋外鑑賞券(ヘッドホン付)、駐車券付鑑賞券(1台に付き4人まで)、小学生用屋外鑑賞券の3種類

※チケットは各日により料金が変わります。

※屋外鑑賞券をご購入のお客様は、椅子をご持参ください。

※屋外鑑賞券は、小学生以下は無料、小学生は1,000円、中学生以上は大人料金になります。

※車1台に付き、駐車券付鑑賞券を1枚ご購入ください。

※車1台に4名を超える乗り合わせで来られる場合は、超える人数分の屋外鑑賞券のご購入をお願いいたします。

※鑑賞券1枚で、その日に上映される作品をすべてご覧いただけます。

※会場への入場は前売をご購入の方のみとなります。当日券の販売はありません。

※当日券を販売いたします。当日券のお客様は、当日会場受付にて入場料をお支払いください。料金は前売券と同じになります。

※前売券のお申し込みは開催日前日23時59分までの受付となります。

ご参加いただく際の諸注意

  • ・屋外鑑賞券の場合、会場側での椅子の準備はありませんので、ご自身でお持ちください。
  • ・冷え込みが予想されますので、防寒具をご持参ください。(燃焼系暖房器具の持ち込みは禁止です)
  • ・タープのご使用は周りのお客様の鑑賞の邪魔になりますのでご遠慮ください。なお、簡易なポップアップテントのご使用は可能です。
  • ・会場内での飲食は可能ですが、アルコール飲料の持ち込みはできません。
  • ・入場時に鑑賞エリアの指定は運営側で行います。ソーシャルディスタンスを確保ください。
  • ・音響は、車はトランスミッターで受信していただき、車以外での鑑賞は受付で入場時にヘッドホンをお渡しいたします。
  • ・入場時にリストバンドをお渡しいたしますので、会場の出入りは自由です。
  • ・会場内は禁煙です。
  • ・すべての日程でスクリーンの写真および動画の撮影は禁止です。最終日は、会場内すべての写真および動画の撮影が禁止です。
  • <イベント運営時の入場制限について>
  • 大阪府青少年健全育成条例により、16 歳未満の方は上映終了時刻が19 時を過ぎる回は、保護者同伴でないとご入場いただけません。入場時には年齢確認のための身分証明書のチェックを行う場合があります。

妙見口駅から旧東郷小学校前までの
送迎バスについて

イベント期間中は、妙見口駅⇔旧東郷小学校の区間を、14:30~22:30の間、1時間間隔で臨時バスが運行いたします。妙見口駅-旧東郷小学校間はバスで約11分ほどです。
※21日の14:35は欠便となります。また22日の臨時バスは休止となりますのでご注意ください。
妙見口駅前発:14:35、15:35、16:35、18:35、20:00、22:00
旧東郷小学校前発:15:00、16:00、17:00、18:00、19:30、21:30、22:30

 

20日(土)

アートと映画の境界を超えて

現代アートには多くの映像作品が存在します。多くは、美術館で展示されるため、人々はアートを見にいく過程でその作品に出会い、結果としてそれらの映像をアートとして認識します。しかし、それらの中には映画同様に劇場公開されるものもありますし、劇場公開されたものをアートとして、美術館で展示するということもあります。それは「アート作品として、映画を作った」ということもできますし、「アートが映画を映像作品として吸収している」とも言えるかもしれません。例えば「ブンミおじさんの森」でカンヌ国際映画祭で賞を受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクンはアーティストとしても知られ、非常に多くの国際的な展覧会に出展をしています。
こうした流れの中で映像作品と映画の境界は曖昧になっています。初日は、そうしたアートと映画の境界を横断するような作品を見ていただきたいと思います。

この日は参加者のみなさんへ「食」のプロジェクトである「命のスープ」の無償提供があります。

チケット

屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,500円

駐車券付鑑賞券(4名様まで利用可能) 6,300円

小学生用屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,000円

チケット購入ページへ

上映開始予定時間:17:30〜

『光りの墓』

『光りの墓』
2015年製作 122分 タイ・イギリス・フランス・ドイツ・マレーシア合作
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン

タイ東北部イサーンに建てられた仮設病院には、謎の眠り病にかかった兵士たちが収容され、色と光による療法が施されている。この病院にやって来た女性ジェンは、兵士たちの世話をする。また、この病院には眠る兵士たちの魂と交信できる特殊能力を持った若い女性がいた。ジェンはこの若い女性と関わる中で、病院のある場所がはるか昔、王様たちの墓だったことを知る。そして、この事実が兵士たちの眠り病に関係していると考え、その謎に迫る。原因不明の「眠り病」に陥った兵士たちと古代の王の墓をめぐる謎を、ユーモアと優しさあふれるタッチで描いた作品。

20:00〜

『ブンミおじさんの森』

『ブンミおじさんの森』
2010年製作 114分 イギリス・タイ・ドイツ・フランス・スペイン合作
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
© Kick the Machine Films

余命わずかなブンミはタイの山間で暮らしている。ある日彼が自分の農園に妻の妹ジェンを呼び寄せる。すると、そこに19 年前に亡くなったブンミの妻の霊が現れる。また、行方不明だった息子もその姿を変え、彼の前に現れる。自身の死を前に、愛するものたちとの再会を果たしたブンミは、彼らとともに深い森の奥へと静かに入っていく。タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督が、カンヌ映画祭でタイ映画として初のパルムドールを受賞したファンタジー・ドラマ。

【現代アート上映作品】
17:00〜 伊東宣明 《アート(日本ver.)》2015年(10分)
17:10〜 伊東宣明 《アート(スペインver.)》2015年(10分)
アート(日本ver)

作品解説:
《アート》には、全国各地の美術館や野外作品を背景に「アートとは何か」を語る伊東自身の姿が映し出されます。アートの本質はどこにあるのか、理想的なアートの在り方とは何か。承認欲求から制作された作品はすぐに消費されてしまうが、作品を超えた先にある「X」、つまり人間が到達することのできない理想を追い求めることこそが「本当のアート」なのだと伊東は語ります。同時に、淡々とした語りの合間には時折こちらのウケを狙うようにおどけたり声を荒げるシーンも挟み、自撮りの映像を繋ぎ合わせたその様子はまるでSNSに投稿された動画を彷彿とさせ、そこには語りの内容との矛盾が生じていきます。アーティスト自身が撮り撮られる役を演じることで、言葉が次第に現実と虚構の間をさまよっていきます。愛知県美術館での個展で発表されたこの《アート(日本Ver.)》と、スペイン・マドリードでのレジデンスで制作した《アート(スペインVer.)》が加わり上映されます。台詞はほとんど変えずに国を変えて、スペインの名画やアートを取り巻く環境などを背景に再度撮影されたスペインバージョンと日本バージョンを比較することで、どちらも被写体はアーティスト自身であるものの、状況により差異がうまれ、「アート」を取り巻く二カ国の状況、さらには歴史をも浮かび上がらせる構造になっています。
 
伊東宣明
1981年奈良県生まれ、京都在住。2006年に京都芸術大学(旧:京都造形芸術大学)映像舞台芸術学科・映像芸術コースを卒業、2016年に京都市立芸術大学大学院・美術研究科博士後期課程修了、博士(美術)学位を取得。「身体」「生/死」「精神」といった生きるうえで避ける事のできない根源的なテーマを追求し、映像やインスタレーション作品を発表しているアーティスト。近年の主な展覧会に、2020年個展『されど、死ぬのはいつも他人ばかり』(The 5th Floor/東京)、2018年個展『フィクション / 人生で一番美しい』(WAITINGROOM/東京)、グループ展『CANCER THE MECHANISM OF RESEMBLING』(EUKARYOTE/東京)、2016年個展『アートと芸術家』(WAITINGROOM/東京)、グループ展『S-HOUSEミュージアム開館記念展』(S-HOUSEミュージアム、岡山、2016年より)、2015年個展『アート』(愛知県美術館 APMoA Project ARCH/愛知)、グループ展『GRAVEDAD CERO』(Matadero Madrid/スペイン)、2014年グループ展『牛窓・亜細亜藝術交流祭 – 瀬戸内市美術館』(牛窓シーサイドホール/岡山)、2012年グループ展『Me’tis -戦う美術-』(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA/京都)、2010年グループ展『レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート』(サントリーミュージアム/大阪)などが挙げられる。

 
19:45〜 笹岡由梨子 《イカロスの花嫁》2015年(8分)
イカロスの花嫁

作品解説:
《イカロスの花嫁》は、これまでと同様に、人的動力で動く人形や作家の扮する花嫁人形に顔がCG合成され、対象抒情歌である「花嫁人形」・作家オリジナルのメロディと歌詞を基調にストーリーが展開されるビデオ・インスタレーションである。タイトルにあるとおり、「イカロス」とは王の怒りを買い、発明家である父ダイダロスとともに迷宮に閉じ込められ、父の機知により脱出するもその野心によって身を滅ぼしたというギリシア神話の登場人物に基づく。作品に登場する花嫁人形「ヨリコ」は作家自身が扮しており、イカロスやダイダロスの人形は人間より一回り以上大きく、ミノタウロスを連想させる牛の頭が合成された黒子たちによって動かされ、観るもののスケール感を狂わせる。。独特の節を持つメロディと花嫁人形の歌う主張のこもった歌詞は、登場人物やストーリーと絡み合うことで様々な意味合いを想起させ、作品と観るものとの対話を要求する。
 
笹岡由梨子
大阪府出身。映像の中にある絵画との接点を探るべく、絵画における手の痕跡や筆致と近似した、高性能なCG映像にはない異物感や違和感を引き出し、独自のストーリーを紡ぐ。そして、緻密な構成や物語とともに、どこか懐かしい、けれど誰も見たことのない独特の世界観をリアルに感じさせる。また、2017年に参加した北マケドニア共和国でのアーティスト・イン・レジデンスで人の温かさ、心の豊かさにカルチャーショックを覚え、以降はアジアに最も近いヨーロッパ世界のリアルな人々、暮らし、歴史に関心を深め、中央・東欧諸国のリサーチや発表を重ねている。
現在、京都市のシェア・スタジオ”Vostok”を拠点に活動。
 
<主な展覧会>
■solo show…2021年「Zniknij Z Ziemi」Trafostacja(Szczecin/Poland),2019年…個展「太陽Ⅰ」同時代ギャラリー(京都)
■group show…2021年「Lost in Translation」ギャラリー@KCUA(京都), 「水の波紋展2021」渋谷区役所 第二美竹分庁舎(東京),「まみえる – 千変万化な顔たち」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川), 2019年「Ascending Art Annual Vol.3 うたう命、うねる心」ワコールスタディホール京都(京都),「CELEBRATION -Japanese-Polish Contemporary Art Exhibition- in Szczecin」TRAFO(Szczecin/Poland),「ポーランド芸術祭2019 in Japan セレブレーション-日本ポーランド現代美術展-」京都芸術センター(京都),「虛寫邊界」關渡美術館(Taipei/Taiwan)

21日(日)

Feel the world through the eyes of Artists(アーティストの視点から世界を捉えてみること)

現代アートには様々な思想や文脈が絡みついています。それらは、アートに言葉を与え、作品の意味の共有を可能にしてくれます。
しかし、その言説は時に難解なので、同時に芸術を「難しいもの」へと変えてしまいます。そして、個人の感性を通して芸術に寄り添うこと、理解することを端へと追いやってしまったようにも思います。こうした状況に対し、2日目は芸術作品についてではなく、アーティストのドキュメンタリーなどを通して、彼らがどのように世界を捉えているのかを見ることで、人間が世界を捉えるための方法、見方の一つとしてのアートのあり方を実際に体験してもらえたらと思います。
あなたの見ている世界をアーティストの視点から見つめてみましょう。それは知らない世界を見せてくれるとともに、普段見ている世界の見え方を変えてくれるでしょう。

チケット

屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,500円

駐車券付鑑賞券(4名様まで利用可能) 6,300円

小学生用屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,000円

チケット購入ページへ

上映開始予定時間:18:00〜

『クリスト ウォーキング・オン・ウォーター』

『クリスト ウォーキング・オン・ウォーター』
2018年製作 104分 アメリカ・イタリア合作
監督:アンドレイ・M・パウノフ 
© Christo,2016 
Photo:Wolfganf Volz

2020年に他界した芸術家クリスト。生前に彼は妻であり創作活動のパートナーでもあるジャンヌ=クロードと、ポン=ヌフの橋などの建造物を包み込んだり、広大な平野に布のフェンスを立てることで郊外の景観を変貌させたりする環境芸術を数多く発表した。2009年にジャンヌ=クロードが死去した後、彼は1970年から構想を練っていた、湖上に敷かれた巨大な布の上を人々が歩く作品「フローティング・ピアーズ(浮かぶ桟橋)」の制作に着手。そして2016年、アルプスの麓にあるイタリアのイゼオ湖にて同作品を実現した。この「浮かぶ桟橋」のプロジェクト実現までの道のりを記録したドキュメンタリー。

20:00〜

『太陽の塔』

『太陽の塔』
2018年製作 112分 日本
監督:関根光才 
©2018映画『太陽の塔』製作委員会

芸術家の岡本太郎の最も有名な作品の一つであり、1970年に開催された大阪万博のシンボルとして制作された太陽の塔。「人類の進歩と調和」をテーマに掲げて開催された大阪万博において、岡本太郎は、この約70メートルの塔に何を込め、何を見出していたのだろうか。当時の関係者の証言や、さまざまな分野の専門家、アーティストのインタビューなどを通して、岡本太郎の目指したもの、見つめていた世界について考察していくドキュメンタリー。
本作では、数々のミュージックビデオなども手がける映像ディレクターの関根光才が監督を務めた。

【現代アート上映作品】
17:00〜 深澤孝史 《信仰住宅地》2019年(52分)
信仰住宅地

作品解説:
この映画は、とある鉱山夫の霊とその霊を無縁仏として祀った一人の老婆のために作ります。
光風台駅すぐ近く、2丁目の端の初谷川沿いに天狗岩という大きな鉱山があり、古くから鉱山や川の安全祈願のために高代寺の分社である「青龍大権現」が祀られていました。
昭和初期、妙見口駅で売店を営む老婆の夢枕に、天狗岩の鉱山夫の霊が現れたそうです。自身もふるさとを離れ、四国から嫁いできた老婆は、ふるさとに帰れなかった鉱山夫に思いを馳せ、その供養のために無縁仏を天狗岩にお祀りしたそうです。しかし、今年の9月に100年ほど天狗岩に祀られていた無縁仏は、この地を離れ、管理されている方の家の敷地に移動することになりました。天狗岩の無縁さんは光風台を離れていきました。光風台を含む豊能町のニュータウンは40年以上前にふるさとを離れて越してきた人々の町です。今こそ光風台と天狗岩の無縁さんとをもう一度結びつける意味があるのではないかと僕は思っています。
最初にこの町に家を建て越して来た第一世代の多くは80代となりました。その第一世代の人たちが、光風台を単なるニュータウンで終わらせず40年かけて、それまでの信仰と歴史と自然とニュータウンの暮らしを結びつけてきました。それは能勢の宗教者との協働でもありました。その恩恵を受けて僕らは今ここにいます。彼らの営みに敬意を込めて、この町を「信仰住宅地」と呼びたいと思います。
監督 深澤孝史
引用元:http://fukasawatakafumi.net/newtownmyhometheater

深澤孝史
美術家。1984年山梨県生まれ。誰かの大切なものを勝手に大切にする方法を考える。例えば2008年に鈴木一郎太とともにNPO法人クリエイティブサポートレッツにて「たけし文化センター」を企画。最近の主な活動として、漂着神の伝説が数多く残る町で、漂着廃棄物を現代の漂着神として祀る神社を建立した《神話の続き》(2017、奥能登国際芸術祭)、八戸のスケート文化の発祥の地であるため池を再現する《堤にもどる》(2017、はっちアーティストインレジデンス)、埋もれた地域の歴史を現代に結びつけ直すことで、市民の主権と文化の獲得を目指す《常陸佐竹市》(2016、茨城県北芸術祭)、里山に民泊し、土地特有の近代化の資料を集めていく《越後妻有民俗泊物館》(2015、第6回大地の芸術祭)、お金のかわりに自身のとくいなことを運用する《とくいの銀行》(2011-、取手アートプロジェクトほか)など。
http://fukasawatakafumi.net/

22日(月)

Gender Equality(ジェンダーの壁を超える)

アートの世界でも未だジェンダーの壁は厚く、様々な議論が日々起こっています。今回ののせでんアートライン2021 でも、出展作家のジェンダーバランスは良いとはいえず、アファーマティブアクションとは至らない状況になりました。こういった性別による不平等さを少しでも解消していくべく、3 日目は女性監督作品だけを選定しています。女性監督作品の中でも素晴らしい作品はたくさんあり、過去の作品の再評価も進んでいます。一日も早く、こうした「女性」という枠を準備せず、作り手の性別を意識せずともジェンダーバランスがとれる世界になるよう願いを込めて企画しました。

チケット

屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,800円

駐車券付鑑賞券(4名様まで利用可能) 7,500円

小学生用屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,000円

チケット購入ページへ

上映開始予定時間:17:20〜

『存在のない子供たち』

『存在のない子供たち』
2018年製作 125分 レバノン
監督:ナディーン・ラバキー 
© 2018MoozFilms

中東の貧民窟で暮らす12歳の少年ゼイン。ある日、彼の妹が、年上の男性と強制的に結婚させられてしまう。ゼインはこれに反発し、家を出る。生きていくために仕事を探すが、彼は両親が出生届を提出していないため、IDを持っていない。そのため、仕事に就くことができなかった。そんな中、エチオピア移民の女性と知り合い、彼女とその赤ん坊とともに暮らし始める。その後しばらくして、再び家に戻ったゼインは、強制結婚させられた妹が亡くなったことを知り、このどうしようもなく理不尽な状況を嘆き、両親を訴える。中東の貧困・移民問題を若干12歳の少年の視点から描いた。
レバノンの女性監督ナディーン・ラバキーが監督を務め、2018年、第71回カンヌ国際映画祭で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した。

20:00〜

『ノマドランド』

『ノマドランド』
2020年製作 108分 アメリカ
監督:クロエ・ジャオ
© 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

ネバダ州に暮らす主人公ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、家を失ってしまう。これにより、彼女はキャンピングカーに全てを詰め込み、“遊牧民(ノマド)”として、季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることになる。その行く先々で出会う遊牧民たちとの交流を重ねる中で、彼女が誇りを持って力強く自由を生きる姿を描いたロードムービー。
「スリー・ビルボード」のオスカー女優フランシス・マクドーマンドが主演を務め、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」を原作に、クロエ・ジャオ監督が映画化した作品。第93回アカデミー賞で計6 部門でノミネートされ、作品、監督、主演女優賞の3 部門を受賞。

  
  

【現代アート上映作品】
17:10〜 チン・ユウジュウ《キョクアジサシ》2020年(5分)
19:40〜 チン・ユウジュウ《軍歌と恋歌》2017年、《望春風》2021年(各5分) 

チン・ユウジュウ作品イメージ

作品解説:
日本統治時代(1895~1945年)の台湾では、1937年から皇民化教育と呼ばれる同化政策が進められた。その際「月夜愁(月の憂愁)」という台湾語の流行歌曲が、日本語の軍歌「軍夫の妻」へと変えられた。《軍歌と恋歌》はこの史実に基き、作者本人が恋歌と軍歌をそれぞれ台湾語と日本語で歌い、両国で撮影した映像と組み合わせ、今日の風景として立ち上げようと試みた。《望春風(春待つ乙女)》では、同様の史実に基づき、ラブソングの《望春風(春待つ乙女)》と変えられた日本語軍歌《大地は招く》を、作家が日本人男性と台湾語と日本語で交互に歌う様子が映される。 また、コロナ禍初期の緊急事態宣言期間において、外出が制限されたことで、作家本人の気持ちが沈む時間が増えたことから、他者との交流が制限される状況において、各々できることを考えはじめ、最終的には久美浜町にて映像/音楽作品《キョクアジサシ 》のフィールドレコーディングを行い、音楽家の武田真彦氏とともに制作した。
 
チン・ユウジュウ
1992 年台湾生まれ、2011 年より日本に移り、2017年 京都造形芸術大学 美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業。現在京都を拠点とする。 異なる言語によって移動・翻訳される「歴史」と「記憶」や、そこに生じる認識の差について探求し、音や映像媒体などを用いて表象する。最近の主な展覧会に2021年グループ展「ニュイ・ブランシュKYOTO 2021 『Red Line』」(旧五条楽園 平岩遊廓/京都)、2020年グループ展「境界線を遡行する」(VOU/京都)、2018年個展「軍歌と恋歌」(FORUM KYOTO/京都)、グループ展「地下の蜃気楼」(京都市美術館付属棟/京都)などがある。
https://yuju-chen.com/
  
  

23日(火)

A Dream Before the Dream(かつての夢に想いを馳せて)

初日にはアートと映画の境界を越え、2日目には彼らの見つめる世界を体験し、3 日目はアートの世界にも蔓延るジェンダーの壁を超える試みを行いました。 最終日となるこの日には、改めて世界や自分自身に向き合い、イマジネーションを広げていくことを促します。
また、本イベントはアートイベントであるとともに食や音楽、映画などが混ざり合った複合的な文化イベントです。これらの文化にはどの文化が重要かというヒエラルキーはなく、それぞれが重要なアクターとして作用しながら、本イベントを、引いては社会を構成していると言えるでしょう。しかし、現代アートやファインアートはメインカルチャーとして扱われつつ、映画やアニメーションなどはサブカルチャー的に扱われてきました。こうした社会的なカテゴリーや認識に縛られることなく、自身が大切にしたい文化を「カルチャー」として肯定していくため、改めて自分の好きなもの、好きだったものに向き合うきっかけになることを目指します。

今も私たちは様々な形で夢をみます。それはとても重要なことです。しかし、その見方を少し変えるだけで世界はもっと広がり、新しい価値観に出会えるかもしれません。今見る夢を大切にしながら、あなたがかつて見た夢にもう一度想いを馳せてみてはどうでしょうか。

チケット

屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,800円

駐車券付鑑賞券(4名様まで利用可能) 7,500円

小学生用屋外鑑賞券(ヘッドホン付) 1,000円

チケット購入ページへ

上映開始予定時間:17:20〜

上映開始予定時間:17:30〜

『もののけ姫』
1997年製作 133分 日本
監督:宮崎駿 © 1997 Studio Ghibli・ND

舞台は太古から森の神々が住んでいたとされる室町時代ころの日本。主人公アシタカの住む村に人間への怨念に呑まれ祟り神となった大猪が突如襲う。彼は祟り神を仕留めた代償に右腕に呪いを受ける。祟り神が生まれた原因と自らの呪いを解く術を探すべく旅に出たアシタカ。そこで辿り着いた製鉄が盛んな村 タタラ場で豊かな人々の暮らしの裏で自然破壊が行われている様を目の当たりにする。森を守る生き物と発展を目指す人間の争いが繰り返される日々。アシタカはその両方に眼差しを向け互いが共存できる希望を模索する。公開された1997年当時の日本映画の歴代興行収入第1位となった宮崎駿監督の大ヒット作。

20:00〜

20:00〜

『風の谷のナウシカ』
1984年製作 116分 日本
監督:宮崎駿 © 1984 Studio Ghibli・H

戦争で全てが焼き尽くされ、巨大な蟲たちと猛毒ガスを持つ植物が茂る“腐海”に世界が覆われた未来。人々はそれらの脅威に怯えながら暮らしている。風の谷と呼ばれる国で小型飛行機メーヴェを操りながら日々腐海について研究を続 ける国の姫、ナウシカ。ある日世界征服を目論むトルメキア軍が、かつて世界を滅ぼした巨神兵を連れ彼女の元へ攻め入って来る。悲劇を繰り返さないためにはどうすればいい か、蟲や腐海はなぜ生まれたのか。その答えを命懸けで人々に伝えるべく、彼女はまた風に乗るのだった。監督宮崎駿がアニメージュにて連載していた漫画を映画化した作品。世界中で長く愛され続けているスタジオジブリ。その原点とも言える長編アニメーション映画である。

  
  

【現代アート上映作品】
17:10〜 島田清夏《Drawing by Senkohanabi》2020年(5分)
19:50〜 島田清夏《Drawing by Senkohanabi》2021年(5分) 
 
作品解説:
《Drawing by Senkohanabi》(2020)、線香花火の 100 の静止画を1フレームとして制作された映像作品である。これは、100 枚の静止画が撮影された時間を、1フレームという時間に還元し、その時間的な前後関係を無くす行為でもある。また、《Drawing by Senkohanabi》(2021) は、同作品から派生したモノクロの映像作品である。中心から、外へと拡散してゆく花火のさまざまなパターンは、シャーレの中の粘菌の変形のようにも見える。また、最後に線香花火の玉が落ちてゆく様は、沈む夕日のようでもある。島田は、花火における時間概念の抽象化によってミクロな次元と、マクロな次元との間を自由に行き来するような感覚へと鑑賞者を誘う。
 
島田清夏
東京都生まれ。主に映画やインスタレーションのジャンルで作品を制作。日本大学藝術学部映画学科卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了、現在同研究科博士課程在籍。 オーバーハウゼン国際短編映画祭をはじめとする国内外の映画祭で作品を発表。大学在学中に花火の世界に出会い、そのエネルギーに魅了される。卒業後、花火のショーデザイナーとして活動を開始し、ハノーバー国際花火競技大会をはじめとする国内外の花火大会に参加。火や雷、放射線など自然の要素を取り入れた作品に興味を持つ。現在、東京藝術大学大学院博士課程に在籍し、花火作品を制作している。コルベール委員会が主催する「Rêver 2074」のグランプリ受賞。
  
  

メインキュレーター:三宅敦大(Curatorial Collective “HB.” 共同代表)
上映協力:株式会社京都映画センター