のせでんアートライン2019 避難訓練

COLUMN

#19

インタビュー2019/11/12

【地域プロジェクト】とよのわたし研究室インタビュー
豊能町で暮らす女性の“生き方”応援プロジェクト

 豊能町による女性活躍人材育成事業「とよのわたし研究室」の1期生による市民団体「とよのわたし研究室」が、今年夏に発足しました。これまでに、自分らしさをアップさせるための「自分らしさ診断」を町内の様々な場所で展開し、のせでんアートライン期間も各所で実施を予定しています。「自分らしさを診断・研究する」とは一体どのような取り組みなのでしょうか? 室長の三好麻理子さん、メンバーの稲本さん、和田さん、滝本さんにお話を伺いました。

 

 

【地域プロジェクト】とよのわたし研究室インタビュー

■自分らしさを発見し、より輝ける生き方を模索する「とよのわたし研究室」

 
――「とよのわたし研究室」ではどんな研究を行うのですか?

三好:「とよのわたし研究室」は、豊能町の女性活躍人材育成事業として昨年からスタートした取り組みで、私たちはその第一期生です。「わたし研究を文化にする」をコンセプトに活動されている「一般社団法人こころ館」の松原明美先生が講師となり、全6回の講座を通して自分らしさとは何か、自分らしい生き方とは何かを探求します。

稲本:豊能町としても、「自分らしさ」という目に見えないものを発掘するという講座は、初の試みだったみたいです。豊能町で発行される広報誌を通じてこの取組みを知り、最初は興味本位で参加させていただきました。

和田:広報誌にチラシが挟み込まれていたんですが、普段は見かけないくらい大きいもので、デザインも素敵でした。「豊能町は本気でやろうとしてるんだ!」とワクワクしましたね。豊能町在住で、20~50代の子育て経験がある女性というのが参加条件でした。

滝本:私は知人に誘われてプレイベントに参加したのですが、結局知人は行けなくて、私だけが参加することに(笑)。

三好:私もプレイベントに参加したのですが、それがすごく楽しくて。その日初めて会う3人とお話するというワークショップがあったのですが、自分の心の中に留めていたものを吐き出せて、すごくスッキリした気分になったのを覚えています。
 
 

 
――全6回の講座を通じて、皆さんにどんな変化がありましたか?

三好:子育て世代はどうしても家族や子育てが優先になって、なかなか自分のことだけを考える時間は少ないと思うんです。この講座では自分の過去の経験や心の中にあるものを参加メンバーと共に話すということを繰り返してきたのですが、もやもやしていた心がスッキリしたとか、体に変化が現れる人もいて、不思議な感覚でしたね。今まで誰にも言っていなかったこともここでは言えて、メンバーに対する信頼や安心感も生まれました。

稲本:不思議な繋がりですよね。自分で自分のことをわかっていると思っていたけど、まだ知らないこともいっぱいありました。「あるがまま」と「わがまま」の違いや、マインドフルネスの意味などをプレイベントでも教わったのですが、講座ではより深く掘り下げていく感じで。なかなか今までに聞いたことがなかった切り口ですし、子育てに役立つのも心強いです。
 
 

【地域プロジェクト】とよのわたし研究室インタビュー

■マルシェやイベントで「自分らしさ診断」を展開

 
――市民団体としては、どんな活動をされているのでしょうか。

三好:私たちが講座で学んだことを、もっとたくさんの方に知ってもらいたいと思い、講座で使用する「自分らしさ診断」を豊能町のさまざまなイベントの中で展開しています。

稲本:「自分らしさ診断」専用の診断シートがありまして、設問ごとに点数を記入してもらいます。その合計点数から6つのタイプに分類して、自分が自分らしくないと思えるのがどんな時なのか、自分らしくあるためにどうすればいいかのヒントを得ていただくようなワークです。

和田:元々はこころ館の松原先生が考案されたツールなのですが、1期の講座修了後に開催された「ファシリテーター養成講座」で診断方法を勉強して、今では自分たちで診断ができるようになりました。

三好:とはいえ私たちも専門家ではないので、特別な知識があるとか、的確なアドバイスができるというレベルにはまだ達していないんです。それでも、わたし研究をして自分らしさと向き合った経験があるからこそ、何かお伝えできることがあるはずと思い、この活動に取り組んでいます。

稲本:最近では、自分がどんな時に幸せを感じるかという「幸せ度」についてのアンケートも合わせて行っています。

和田:今は講座の第2期がスタートしているので(*インタビュー時点)、講座がある日に松原先生と1期生が集まる定例会も行い、どんな方向性で活動していくかを相談していますね。

三好:こんな風に市民団体として活動するなんて、講座が始まった頃には想像もしていなかったですね。ただ、わたし研究をするなかで、だんだん「豊能町に関わって何かできることがないか」という気持ちが生まれてきて。講座の最終回に“わたしらしさを発見した後、これからどうしていきたいか”を発表する機会があったのですが、そこで私は「豊能町に生きる人たちの幸せサポーター」というテーマを掲げたんです。テーマを実現させるためのアイデアを皆さんからいただき、一人ではできないのでメンバーの皆さんに声をかけたら快く手伝ってくださって、今に至ります。
 
 

――イベントにはどんな方が来られるのでしょうか。

三好:平均すると毎回50人くらいの男女に参加していただいています。お子様からお年寄りまで、世代は幅広いですね。イベント会場の近隣の方が多いです。

稲本:先日のイベントでは、80代の女性が「丁寧に話を聞いてもらえてよかった!」と非常に満足して帰られたということもありました。自分らしさや、自分らしくないと感じた時の考え方のヒントになるようなことをお伝えするのですが、だんだんと笑顔になって帰っていかれることが多いですね。私たちもすごく充実した気分になります。

和田:診断結果は全て肯定的な言葉で作られているんです。私たちがそれを読むだけでも、お互いが清々しい気持ちになれますね。

滝本:診断時間は5分程度なのですが、その間はたしかに心の通い合いがあるのを感じます。
診断の5分だけは、自分のことだけを考えていただく。私たちも、相手の方のお役に立てるようなギフトメッセージをお伝えできるようにと考えています。
 
 

【地域プロジェクト】とよのわたし研究室インタビュー

■自分らしくなれたからこそ、豊能町の役に立ちたい

 
――これからの活動の予定や、やりたいことを教えてください。

三好:「自分らしさ診断」をさらに広めていきたいと思っています。診断結果は絶対的なものではなく、その時の気持ちによっても変化するので、長期的な目で何度も参加していただければ嬉しいですね。学校のPTAの役員の方や先生方、進路に悩んでいる学生、働くお母さんなど、様々な年代や目的別のワークショップを開催できたらとも話しています。

講座を受ける前は自分さえよければいいと思っていたこともあるのですが、講座で過去を振り返るうちに、それができていたのは周りの人が支えてくれたこそだと気づいたんです。松原先生によれば、自己の内面が満たされた人は、自分以外の人の役に立ちたいと思うのだとか。まさに今、そんな気持ちです。

稲本:豊能町は目立った産業がないと言われていて、だからこそ人を大切にしようと町全体が考えているのだと思います。一人一人が自分らしく輝く生き方をすることが大切なのではないでしょうか。自分らしさを学んだ私たちが、今度は豊能町のためにできることがあれば、どんどんお手伝いしたいですね。
 
 

【地域プロジェクト】とよのわたし研究室インタビュー

左2番目:三好麻理子(みよし・まりこ)
とよのわたし研究室:室長。豊能町在住11年。研究テーマ“とよので暮らす人たちのしあわせサポーター”。人の笑顔を見るのが大好き。自分を大切にできる人を増やして、みんなが幸せに暮らしていける手助けができたら私も幸せです。

中央:和田敦子(わだ・あつこ)
とよのわたし研究室:会計。豊能町在住22年。研究テーマ“書を通して、笑顔の人を増やす”。書道歴30年。書道の楽しさ、すばらしさを伝えていきたい。書道を身近に感じてもらうためのワークショップを計画中。

右2番目:稲本泰惠(いなもと・やすえ)
とよのわたし研究室:校閲担当。豊能町在住17年。研究テーマ“頑張る人に寄り添う傾聴者になる”。現在は「自分らしさ診断」で、お客様と共に過ごすわずかな時間を大切にしています。人と話すこと、人の話を聴くことが好き。出会いに感謝です。

右:滝本弥生(たきもと・やよい)
とよのわたし研究室:コーディネーター。豊能町在住20年。研究テーマ“「やってみたい」を応援する場づくり”。人と人とをつなぐ「縁」。人とつながる喜びが、わたしの活力源。「あなたがやってみたいことは何ですか?」私が全力でサポートします!
 
 
●とよのわたし研究室
http://noseden-artline.com/2019/localproject/noseden-193/
●豊能町で暮らす女性の“生き方”応援プロジェクト
http://noseden-artline.com/2019/event/noseden-290/
 
 
 

インタビュー日・2019/09/28
インタビュアー/文・油井康子

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