深澤孝史さんと地域のプロジェクトメンバーのみなさんが映画を製作。同メンバーとともにつくる映画館「光風台マイホームシアター」で上映します。

【DIRETCTOR’S NOTE】

とある鉱山夫の霊とその霊を無縁仏として祀った
一人の老婆のために

能勢電鉄は、「西の身延山」と呼ばれている妙見山の参詣の輸送のために大正2年に営業を開始した、元来信仰と切り離すことができない鉄道です。また、豊能町は妙見山のほかにも、高代寺、吉川八幡神社、戦国時代に多く掘られた逆修仏、キリシタン大名高山右近の生誕地など、多様な信仰に溢れています。そして、この地域は豊富な鉱物資源がありました。この光風台にも多くの坑道跡（間歩）が今も残っています。
この映画は、とある鉱山夫の霊とその霊を無縁仏として祀った１人の老婆のために作ります。光風台駅すぐ近く、２丁目の端の初谷川沿いに天狗岩という大きな鉱山があります。
昭和初期、妙見口駅で売店を営む老婆の夢枕に、鉱山夫の霊が現れたそうです。老婆はふるさとに帰れなかった鉱山夫の供養のために無縁仏を天狗岩にお祀りしました。しかし、今年の９月に100年ほど祀られていた無縁さんは、管理されている方の家に移動することになりました。
最初にふるさとを離れ、この光風台に引っ越してきた第一世代の人たちは、約40年かけて、それまでの信仰と歴史と自然とニュータウンの暮らしを結びつけてきました。それは能勢の宗教者との協働でもありました。彼らの営みに敬意を込めて、この町を「信仰住宅地」と呼びたいと思います。（深澤孝史）

・深澤孝史 「NEW TOWN MY HOME THEATER」について