COLUMN
レポート2019/10/24
【地域プロジェクト】デコるヘッドマークワークショップ開催レポート
心配されていた天候もなんとか持ちこたえて、ローカルプロジェクト第1弾「のせでんデコるヘッドマークプロジェクト 〜妙見の森ケーブル ヘッドマークワークショップ〜」が10月13日(日)に開催されました!
ヘッドマークってなに?
ここからヘッドマークという単語を多用していくのですが、そもそもヘッドマークって何なのよ、という方に少しご紹介を。
列車の先頭部に掲げる飾り看板。その列車の愛称名にちなんだデザインなどが使われる。特急列車(新幹線を除く)やイベント列車に取り付けたり、専用窓に掲示する。
引用元:ヘッドマークとは – コトバンク
なるほど! ヘッドマークはいわば豪華な名札、お相撲さんでいうところの化粧まわしのようなもの。みんなでのせでんの化粧まわしを作ろう! ってことなんですね。
今回の『デコるヘッドマークプロジェクト』は、能勢電鉄がプロデュースする鉄道ワークショップ。2013年から始まり、今回で8回目を迎えるそうです。
のせでん平野車庫で準備
今回は特別に取材班として準備から同行させていただくことに。
平野駅にあるのせでん車庫に足を踏み入れると、そこには今回ワークショップ会場となる5146編成車両が威風堂々と迎えてくれました。か、かっこいい。
車両中にお邪魔すると最終ミーティングの真っ最中。この日のために座席はビニールでぴっちりと養生されていて、真ん中にはまるで誂えたかのようなジャストサイズの机が固定されていました。通勤通学でお世話になっているいつもののせでんとはまったく違う装いにびっくり!
準備が整い、最終目的地の川西能勢口駅へ発車! 工作道具や什器を乗っけたまま途中の駅に停まることなくノンストップで川西能勢口駅へ直行という非日常な空間についついはしゃいでしまう私たち親子。
川西能勢口駅に到着! 続々とあつまる参加者たち
川西能勢口駅にはすでにたくさんの参加者の方々が集まっていました。駅員さんの誘導でホームへ向かいます。事前申し込み制にも関わらず満員御礼の40名の方々が集まったとか。
この日の専用車両の方向幕には「イベント電車 Event Train」の文字。車窓にも専用ラッピングが施されており、特別感漂うのせでんを前にみなさんからも歓声が上がります。
ワークショップ開始
いよいよワークショップが始まりました! 各テーブルには先生がついてくれていて手取り足取り教えてくれるので安心です。
あらかじめデザインされた4つのヘッドマーク。まずは土台となるパーツを「接着剤」で付けていきます。赤ちゃんから小学生までみんなでレッツぬりぬりタイム!
車内では静かに、といつも言われている子どもたちも大きなキャンパスを前にとっても楽しそう!
ちなみにこちらのマルーン色の「接着剤」、プロジェクト発起人の植松先生に聞いてみたところ、屋根の瓦の接着にも使われるシーリング材の一種を使用しているとのこと。なるほど、瓦と同じくヘッドマークも雨風に耐える必要がありますもんね。
植松先生の手により、シーリング材でさえもイベントに合わせてオリジナルラッピングが施されていて、このひと手間に能勢電鉄への愛とワークショップを特別な体験にしようというこだわりが感じられます。
もしかしてこのハサミも先生のこだわりで、のせでんの車体カラーに合わせているのでは、と想像してしまいます。
土台が組み上がったら、自分たちのオリジナルパーツに着手。メダルのような大きさのパーツに色とりどりのフェルトやスパンコールで、思い思いにデコります。
どれでも使っていいよ、という子どもたちにとって天国のような空間。お宝の山じゃー!
自分のオリジナルパーツ制作後も、フェルトを使って自由に工作しだす子どもたち。集中力がすごい。
疲れた2歳児はお昼寝タイム。
他のヘッドマークはどんなかな?
今のうちにとなりの車両も見に行ってみました。こちらは多田神社の源氏まつりがモチーフでしょうか。
奥行きの感じる花々が散りばめられていて遠くから見てもとても綺麗なこちら。かなり難易度の高いヘッドマークです。
お! これはのせでんハイキングキャラクターぴょんちゃん&のんちゃ……ではないようですが(笑)子どもが好きなかわいい動物がモチーフになっています。
こちらが私たちのテーブルのヘッドマーク。過去好評だったデザインのオマージュになっているそうです。
こだわりの詰まった「デコるヘッドマークワークショップ」
植松先生によれば、ヘッドマークを取り付けるための裏面についた金具は、このデコるヘッドマークのためだけの特注品でわざわざ町工場に製作依頼しているそうです。
画材にフェルトを使用しているのは、参加者の年齢や手先の器用さにかかわらず、みんなが楽しみながら良い作品を作ることを考えて、絵の具ではなくフェルトを使用されているのだとか。
最初は緊張されていましたが、共同作業を通してみなさんすぐに打ち解けたようで、わいわいと和やかな雰囲気に包まれていました。
最後の工程は、できあがったオリジナルパーツをヘッドマークに付けてもらいます。「どこにつけたい?」と子どもたちの希望を聞いて、電動のタッカーでしっかり固定。
「このバチーーン! てやつ、やってみたい人ー!」男子たちの力強い挙手が微笑ましい。
ついに完成! 記念撮影タイム
最後は記念撮影タイム。みんなでつくったヘッドマークを車両に合体! 自分たちが一生懸命作ったヘッドマークと自分のオリジナルパーツを見つけてみんな嬉しそう。
今回できあがったヘッドマークたちは10月26日から11月24日まで妙見の森ケーブルに実際に取り付けて運行予定です。妙見山頂のアート作品を見に行くときはぜひケーブルにも注目してみてくださいね!
最後に
いつもの通勤通学で使っている電車が一変、ワークショップ工作室に変身するという今回の体験。のせでんはこれ以外にも「おでん列車」や「ビール電車」といったイベント列車のほか、通常運行の列車でも、100個の風鈴が涼しげに揺れる「風鈴電車」や運行途中で消灯しイルミネーションを楽しむ「星座電車」など、年間を通じて日常の中の非日常を提供してくれる日本でも数少ない鉄道会社です。
今回のワークショップを通じて『デコるヘッドマークプロジェクト』の皆さんから、テーマパークにも通じるような「非日常を楽しんでもらおう!」というホスピタリティを感じました。帰り道疲れてまどろむ私たち親子をガタンゴトンと優しく運んでくれるのせでんと車窓ののどかな風景に、ますますこの土地が好きになった私なのでした。
取材日・2019/10/15
文/写真・宇都宮頼子
取材・宮田佐也佳